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「ダンドゥッの女王・イヌール姉ちゃん」
(Ratu Dangdut, Mbak Inul)
先月号でもお話したインドネシアの大衆音楽DANGDUT(ダンドゥッ)、今、インドネシアではこのダンドゥッの若手歌手の一人が大旋風を巻き起こしている。その名は「INUL(イヌール)」。中部ジャワ出身のまだ20歳そこそこの女性ダンドゥッ歌手イヌール、つい半年前は田舎のステージに立って、一曲歌ってRp3,500(約45円)のギャラだったのに、人気が出た今では、1回のステージでRp2500万(約34万円)!! TVのCMも3本出演、インドネシアでも視聴率の高いMTVのアジアコーナーにも頻繁に出演、民放のTV局では2本のレギュラー番組、それもそのまま「INUL」という題の一時間番組で、ロック、ポップ界の人気歌手とデュエットを果たしている。
何がそこまでスゴイのか?そのわけは彼女の踊りにある。 ダンドゥッが過去に低俗趣味といわれていたのは、ダンドゥッ歌手(女性が多い)の歌い方にもある。もともとは結婚式、村の祭などの娯楽として人気のあったダンドゥッは、若い女性歌手がSEXYな衣装に身を包み、腰を振り振り歌うところが民衆に好かれている。だからといって男性のためのモノというわけでもなく、地方巡業などでは村のガキも母ちゃんも、みんな一緒になって舞台を見る。
インドネシアのダンドゥッ歌手は、日本でいえば売れない演歌歌手が各地に巡業に出るように、田舎を回ってSEXYを売りにして仕事する。ストリッパーではないので、裸になることはないけれど、かなりのSEXYさを売る場合が多い。男性ダンドゥッ歌手の場合は、サッカーのテーマ曲で一世風靡したリッキー・マーチン風といえば想像してもらえるだろうか。とにかく、ダンドゥッ歌手になるには、ハワイアンダンス並にクリクリ腰が回らなければ始まらない。そして、聞く側も、自然に体が動くのが普通。私がその光景を見て思うに、これはもう、インドネシア人のストレス解消の最適な方法、120%に精神的疲労から解放できる最も効果的な方法なのだ。 ダンドゥッ歌手の姉ちゃんも、舞台の下で解放感いっぱいの男衆をうまくノセる。甘い鼻声で 私が興味を持ち始めた頃思ったのは、「これはインドネシアのレゲエ」、身体に心地よく裏打ちのリズムを刻み、インドの影響を露骨に受けた、高くて甘いこぶしのきいた歌が入る。なんとも身体に、耳に心地いい。 さてさて、今回の話題であるイヌール、彼女がなぜここまで人気を博したか?それは彼女のニックネームが「ドリル姉ちゃん」であることからもわかるように、その腰の回し方があまりにも尋常でないことに始まる。早速VCDを買って見てみる。 スゴイ!! ビデオデッキがあったら、コマ送りにして見たいくらい。その腰回しのテクニックは言葉では表現しがたいものだ。ハワイアンダンスを思い出して欲しい。同じ高さで腰を回すことは練習すればできそうな気がする。しかし、彼女の場合、地球の自転公転じゃないが、腰は回るは、その状態で身体が上下するは、腕は頭の上で回るは、頭部はタイの舞踊のように右左にスライドするは・・・。身体のそれぞれのパーツが、別々の指示でまったく違った動きをしているのだ。それぞれに回転しながら・・・。そしてそれが全然不自然ではなく、もう人間ではなく蛇的な動きとなっている。 世の男達はこのSEXY姉ちゃんの出現に大喜びだが、私からすれば女女したSEXYさはあまり感じられない。それよりもとんでもなく元気なエアロビのインストラクターといった感じ。一通り彼女のVCDを鑑賞した後で鏡の前に立ち、自分もクネクネしてみたのだが、油の切れた歯車のような動きにしかならない。なんともスゴイ才能だ、イヌールちゃん・・・。 なんでも、この異常な人気に、アメリカのTIMES誌までもがインタビューを試みたらしい。ドサ回りの田舎のダンドゥッ歌手が腰振りの技一つでここまでになったのだからスゴイ。腰も大事にするもんだ。彼女のVCDは、私にとってはエアロビのビデオ。これはどう見たってかなりカロリー消費を期待できる運動だ。毎晩イヌールと一緒に腰回してダイエットするつもりでいる。
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