「人形展」
(Pameran Boneka)
ヒロタミドリ作品

 ジョグジャカルタの若手作家にUGOという青年がいる。見た目にはとてつもなく怖い。長身で痩せていて、全身に刺青をしている。普通の感覚で見たら、アーティストどころか、ジョグジャの街をしきっているヤクザさんのような風体。
 しかし、彼の作品はとても繊細でナイーブなものが多い。数年ジョグジャに暮らし、インドネシアの作家たちを見てきたけれど、全体にジョグジャの作家たち(男に限るが)は一般の人々よりもずっとずっと繊細でもろいハートを持っていて、それが傷つくのを恐れて、とんでもなく大きくてブ厚い鎧をつけているように思える。このUGOにしても、全身TATTOOの恐ろしい風体のくせに、奥さんの前では物静かで、一人息子をとてもかわいがっている。

 彼はここしばらく人形をテーマに作品を作っている。彼なりの「人形」なので、日本人形のような美しい衣装をつけた「お人形さん」とは少々わけが違う。
 その彼が、先日私のスタジオを訪ねてきた。半分酔っているようだ。この見た目は鬼で中身は少女よりもナイーブなUGOは、私の家を訪ねるだけにも酔いの勢いを借りなければいけないようだ。そして今度4月6日から始めるつもりでいる人形展に誘ってくれた。  展覧会場は彼のスタジオ。ジョグジャの南にはずれた田舎の田んぼの中にある。とてものんびりしたいい環境だ。私はすぐにOKした。
   

 現在わがスタジオで制作中の私の「人形」は1997年にバリで作った神々シリーズのリメーク。もとは木を彫って作ってあるが、今回はそれにぬいぐるみのクマのような質感の赤いフワフワの毛を着せてやった。椅子の台座もそう。羽根は本来の木彫りを型に、アルミウムで鋳造した。アルミの羽根をつけた神の腰元では、牧場の動物達が憩っている。
 完成まではもうしばらく。今日、もっと派手に飾ってやろうと思ったが、日曜日だった。近くにあるジョグジャ最大の市場の中には、ジョグジャ最大の洋裁小物店が入っている。ここでこの人形を飾る小物を買い込み、今週中には完成させる。
 次回号では展覧会の様子を報告する予定だ。

 


>>HOME

>>Yogyakarta Times

>> Who is Midori?

( C)midori hirota