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「スルタンの頼み事」 ( Permintaan dari Sultan )
先月末、一年間のビザの更新の際に、この王様の個人秘書から延長手続きのためのサインをもらった。そのときに、 これはもともと私が王様に出した企画でもあったのだが、ジョグジャの発行物があまりにも田舎くさいので、もっとちゃんと今の感覚でデザインして、せっかく私がいるのだから、日本語のものを発行しましょう!という企画。つまりは「ぴあ」のようなものを、フリーでツーリストにあげちゃいましょう!というもの。一年前に出した企画書が、今になって動き始めたのだ。 とはいってもジョグジャカルタ政府には余裕がない、私は半ボランティアでたった一人、喫茶店やホテル、バーを取材し、メニューを撮影し、記事にし、ページレイアウトも全部やった。 考えてみたら、私はグラフィックデザイン専攻だった。しかし当時はPC使ってデザインなんてしてない。すべてがマニュアル。インドネシアで一般的に使われるデザインソフトをインストールはしたものの、なにをどうしたら曲線が描けるのかもわからない。けれど王様はできるだけ早く創刊号を出したいと仰せられる。印刷屋に相談するものの、ちょうどこの時期はイスラムの断食明けにかかり、10日の休業。仕方なく、自分の思うデザインをすべて手書きし、ソフトを使いこなせる友人を探しては個人レッスンを頼み、ようやく今、すべての原稿が印刷屋で最終チェックに入った。
このガイドブックは創刊されたら空港、ホテル、レストランなどに無料で配布され、日本人ツーリストに渡る。内容は衣食住のインフォメーション、ジョグジャの歴史、近場の遺跡紹介など。予算は思い切り少ないけれど、私はこの仕事がとても気に入っている。普通、「金を出したら口も出す」スポンサーが多い中、王様の個人秘書は違う。
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