「道路の犠牲者たち」
( Korban Jiwa di Jalan)

バイク ヒンドゥー教を信仰するバリでは犬はどこにでもいて飼い主のいる手入れされた犬もいれば、完璧なノラ犬もいた。一匹狼(ではなくて犬)はときに他のノラ犬から皮膚病を移され、ミイラが歩いているのかと思うような悲惨な状態でまだ生きているホラー犬も当たり前に見かけたものだ。
バリで暮らしていたときは、バイクで外出すると、よく自動車に轢かれて中身の出た犠牲犬(?)たちに出くわしたものだ。急激に発展したUBUD(ウブッ)エリアで、今までは簡単に道路を横切れたのに、自動車の増加に伴い交通量も増え、ブンブン走り去る車が切れることなく続く中、犬達もどうやって渡りきっていいのか、わからないのだろう。かわいそうに、わずか数メートルの道が、命をかけての歩みなのだ。

いま私が暮らしているジョグジャカルタはイスラム教徒が多い。イスラム教の習慣はバリのヒンドゥーのそれとはずいぶんと違うので、いまだ戸惑うことがある。たとえば豚肉はいっさい食べない。だから、ここで豚肉を探すのはなかなか難しい。朝早く、チャイニーズの多いエリアの市場に行くか、大きなスーパーの生鮮食品の端〜っこの「豚肉」というちっさな表示を探すしかない。

豚肉の他に、犬の問題。バリは犬天国だけれど、イスラム教徒にとって犬は忌み嫌うもの、少しでも舐められたりしようものなら、7回水浴びし、洗髪しなければならないという。そんなわけで、ここでは近所をフラついているノラ犬を見ることはめったにない。

では、犬の少ないこのジョグジャで、何が車に轢かれているのか? 何がペシャンコにつぶれているか、皆さんに想像できるだろうか?

答えはネズミ。それもかなり大きい。ドブネズミというのだろうか。一日外出したら、ひからびたペシャンコネズミを見ない日はないといってもいい。そのくらい、彼らは頻繁に自動車(あるいはバイク?)の被害にあっている。それにしても、私が不思議なのは、ヤツらは人間が捕まえようとするのにはとても逃げ足が速いくせに、なんで車になんてひかれてしまうのか?ということ。日本で想像するネズミに比べたら こっちのははるかに大きいので、すばしっこさが違うのかもしれないけれど、それにしても、ネズミが轢かれている様は、なんだか「猿も木から落ちる」みたいで哀愁が漂って見える。なんか違う、とっても間抜けな感じがする。
話は飛ぶけれど、オーストラリアを旅した友人が 「道でカンガルーが轢かれててビックリした」 と言っていたけれど、交通事故の被害に遭う動物にもお国柄が表れるもんなんだなーと、ネズミの死骸を見ながら思ったのだった。


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