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| (Malioboro Jamming) 私には3つ上の姉がいる。昔から、何を手に入れるにも姉の過去をチェックする必要があった。我が家では、姉が私の年齢のときに手にすることが許されなかったものを、私が手にすることは許されない、とうい暗黙の決まりがあったように思う。たとえばある遊び道具が欲しいとする。それは姉も私の年のときに買ってもらっただろうか?これをチェックしなければならない。徹底した親の平等精神だったのだろうか。
数年前の帰国の際、この、憧れだった姉のギターが押入れの中にポツンと残されているのを見つけ、過去の思い出が蘇った。姉の許可を得て、私はこの、生まれて最初に手に触れたARIAのギターをインドネシアに持ってきたのだった。中学生が買ってもらったギター、さほど高価な品物ではないが、さすがに20年以上も経っている年代モノ、木が完璧に乾燥して音がデキ上がっている。ジョグジャの音楽友達たちは、日本製のARIAというだけでも感動なのに、さらに音がいいので羨ましがってくれる。このARIAも主人が美容師になってからは日の目を見ることがなかったけれど、今じゃ外国で活躍、買ってくれた今は亡き我々の父も喜んでいるのではないだろうか。 その中でも一番親しくしているのは、ジョグジャカルタで過去に一世風靡したバンドのギタリスト、ティアス氏。3枚のアルバムを世に送った彼も今はバンドを解散し、ギター教室講師などをしている。けれども彼はいまだにジョグジャの若者から崇拝される身で、もちろん彼自身に若者をまとめて動かすだけのカリスマ性がある。今年の4月からはジョグジャ最大の繁華街(名古屋のセントラル・パーク、東京の表参道といったら想像がつくだろうか?)の舗道で毎週日曜日にジョグジャ周辺のミュージシャンが夕方から夜11時まで演じ、観客はチケットを買う必要もなく、自由にこれを見ることのできるというイベントをジョグジャ市長の支援つきで始めたしまったのだ。なんと、ノックダウン式のステージや機材は市からの寄付、つまり公式な音楽イベントとして認められた形になったのだ。
ティアス氏から連絡があったのは、このイベントが始まって3回目の日曜日の夜だった。そんな楽しそうなイベントは知らなかった!と、早速会場へ行った私は大感動。舗道には人が溢れ、バンドの演奏に聞きいっている。観客と演奏者の間隔もちょうどいい。まさにステージと観客が一体になって楽しんでいるといった感。
このイベントはまだまだ予算に余裕がなく、ティアス氏をはじめとしたスタッフ(言いだしっぺの人々)はボランティアあるいは自分のお金持ち出しで運営している。そこで、バンドが演奏している途中に関係者が観客の間を箱を持って回り、募金を募る。これが毎回、機材のオペレーション、ステージ組み立てなどを無償で手伝ってくれるボランティアのタバコ代などになる。
そしてようやくステージの夜。全員でそろって練習したのは前日の3時間だけというのに、伝説的ミュージシャンである彼らには充分らしい。私一人が緊張する中、彼らはさっさとステージにあがり、淡々と音のチェックをしている。私は隠し持ってきた酒をクイっと呑み、姉の中学入学祝を持ってステージにあがる。
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