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「井戸水」
( Air Sumur)
最近、歳をとったせいなのか、それともずっとバリの田舎で暮らしていて、急にジョグジャの都会に来て、緑の少なさにストレスを覚え始めたのか、庭いじりが好きになってきました。ましてや、亜熱帯のこの地方では、植えた植物の成長は言葉どおり目に見えるし、知らない間に蒔いてもいない、どんな花が咲くかもしれない葉っぱが増殖していたりして、とっても楽しいのです。
下の写真は裏庭の様子。茶碗のようなポットに蓮の花を入れました。バリの家のように池がないのが残念ですが、その代わりに、自分で作ったこの器を「ミニ蓮池」にしているわけです。このミニ池を作ったために、1つ問題が起こりました。それは「蚊」。この溜まった水に卵を産むので、蚊が大量発生するようになったのです。あわてて薬局で蚊退治の薬を購入、池の中に蒔きました。
こうして蚊騒動が解決したあと、今度はまた別の問題が起こってきました。いま、インドネシアは乾期、本来は「BER」のつく月、つまり9月〜12月(September〜December)が雨季と言われてきたのですが、ここ数年、地球全体の環境の変化にともなってこの時期もずれてきました。まだまだ雨の降らない日が続きそうです。そんなことをすっかり忘れ、庭いじりにかまけ、毎朝夕たっぷりと庭の草木に水をまいていたある日、パタッと水が止まってしまったのです。

我が家は裏庭にある井戸から水をくみ上げ、いったんタンクにたまったものが蛇口から出るようになっています。最初は汲み上げのポンプが故障したのかと思ったのですが、機械は正常。そうです、水には限りというものがあったのです。ここ数ヶ月の乾期のため、この地域全体の井戸の水位が下がっていることが町内で問題になっていることを私は知りませんでした。まったく、人間というものは水なしでは本当に大変です。もちろん、ここではまだまだ隣近所の助け合いが当たり前なので、水浴びするために、食器を洗うために、バケツ一杯の水をもらいに隣りに行くこともできますが、これも面倒。そして何よりも大変なのは、修理屋を呼んでもすぐには来てくれないことです。
今回は水が止まった当日が日曜日だったため、翌日に修理屋を探し(電話を持っていることが少ないので自力で修理屋の家まで行くしかない)、本人が来てくれたのはその翌日、水曜日でした。ここで腹の立つことに、修理屋のじじい(おそらく70代でしょう)は私を見て、中国系の女だと思ったのでしょう、「中国人+王宮エリアに住んでいる=金持ち」というわけで、単に水位が下がっていて、そこにポンプが届かないだけの問題を、わざと大げさにして、「これはもう、水が枯れてしまっているようだね、3人丁稚を呼んでくるから井戸を掘りなおさにゃあならん、費用は70万ルピアだよ」
というのです。70万といったら、日本円でも1万円、こちらに住んでいる私にしたら大金です。何も知らないと思ってナメてるな、ジジィ!
「あのね、じいさん、そんな問題じゃないんだよ、6mでいいからポンプを下に下げてちょうだい。本当に水が枯れたんだったら、普通はその前に水に泥が混じるもんなんだよ」
こっちも少しは知識のあるところを見せ、ジジィに悪事を働かせるすきは与えませんでした。こうして強欲爺イがポンプを下げてからも、まだまだ乾期は続いています。いまでは、水の貴重さが充分にわかったので、洗濯に使った水、米をといだ水もちゃんと庭に蒔いて再利用しています。そして私の努力に応えるように、庭のブーゲンビリア、蓮の花、名も知らない熱帯の草木は、今日も元気に枝葉を伸ばして私をなごませてくれています。

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