ジョグジャカルタタイムズ

「ハンディの結婚式」
( Pernikahan Handi)

 そしてあっという間に2週間は過ぎ、ハンディの結婚式が近づいた。今回はジョグジャカルタからもたくさんの友人が参加することになり、なんとジョグジャで一番の売れっ子アーティスト、アグスワゲが一台のでっかいバスをチャーターしてくれた。66席もあるエアコン付きの本格的観光バスだ。これなら長時間のドライブでも疲れない。
 結局出発の時間には大雨だったため、バイクを利用している気の弱い何人かが突然キャンセル、20人あまりの参加となった。私は一人で3席をぶんどって楽々で7時間の旅をフルに睡眠に使った。「飛行機だったら日本に戻れる時間だ・・・」と思いながら。

 アグスワゲのおかげでホテルも先回の安宿とは大違い。バスタブもホットシャワーもあるホテルに到着したのが午前5時、私はさらに寝、午前7時に起きてシャワーを浴び、9時からの式に備えた。今回は純粋に友人代表、ハンディの両親もさすがの結婚式にはスマトラ島からかけつけていたので代理ママの必要はない。
 バンドゥン(西ジャワ)からの友人達とも途中のホテルで合流。親しい顔ぶれとハンディの結婚式で再会できるのは嬉しい。 我々親しい仲間が楽しみにしていたのは、
「あの(汚い身なりしかしたことのない)ハンディが、いったいどんな花婿になっているのか???」
興味はそこに集中していた。
 参加者が娘の家の前の路地で待っているところに登場したハンディは、金襴豪華にジャワの伝統衣装を身につけた、まさに馬子にも衣装!実は彼は普段の手入れができていないだけで、磨けば光る人だったようだ。こっちの伝統的な衣装と化粧って、ときどきケバケバしくていやらしく見えるのだけれど、薄い唇に塗られた赤のリップも、なんだか気品ある人のようで驚いた。親しい友人も
「ハンディ〜!一生に一度だな、お前が普通の人に見えるの・・・」
と、ヘンに感動していた。

 そしてイスラムの司祭の前で結婚を誓った彼らに祝いの挨拶に行った後、ハンディは自分の妻の花の髪飾りをはずし、私のほうを振り返った。実はインドネシアでもブーケ伝説はある。日本で私が聞いているのは、花嫁のブーケをもらった人が次に結婚するという話。しかし、ここでは花嫁の花の髪飾りを、本人に気づかれずに「盗む」のがマナー(?)。私にそんな芸はないので、少々この伝説が気にはなったけれど盗めずにいたのをハンディは知っていたのだ。 「ミドリ、ほれ、花・・・」 言葉少なに花飾りをこっそりと私に渡そうとするではないか。私にはこのハンディの心遣いが泣けるほど嬉しかった。代理ママへの礼のつもりか、仲間への激励のつもりかしらないけれど、ぶっきらぼうな彼がロマンティックな伝説の片棒を私のために担いでくれたことに感動した。我が子のこの気遣いを無駄にしないよう、ジャワの花飾りのパワーにぜひともあやかりたいものである。

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