「インドネシアの乗り物」
(Kendaraan Indonesia)

朝一番でオートバイの修理屋まで行く。パンクしたチューブにゴムを貼ってもらっている間に考えた。
「一体全体、なんでここではバイクや車の修理に必要な時間がこんなにも多いんだろう???」
日本では20歳で自動車の運転免許を取得して以来、大学が遠かったこともあり、ほとんど毎日自動車を使った。その前には原付バイクに乗っていた時期もある。けれど、そんなに頻繁にどこかが壊れたり、街中を走っていて突然タイヤがパンクしたり、突如理由もわからずに自動車が動かなくなるなんてことは経験がない。
バリでの長い暮らしから、時間をゆっくりと楽しめる方法を学んできたくせに、つい自分の乗り物が故障して動かなくなると、「時は金なり」の日本人根性がじわじわと出てきて
「まったく、インドネシア製ときたら、一ヶ月ももたないものしか作れない!」
とか、
「この忙しい時になんで壊れてばっかりいるんだ?」
とイライラしてしまう。実際にはまだまだ時間なんてたくさんあるくせに・・・。
インドネシアでは約束の時間に遅れた理由、あるいは、ひどい場合には約束に来なかった理由の多くに「雨がなかなか止まなかったから」ってのと「バイクが壊れたから」ってのがある。そして言われた側もそれで納得してしまう。それほどバイク人口が多く、バイクに問題の起こる率も高いということだろう。
実際に多い。母の愛で4輪自動車を所有するようになってからというもの、メンテナンスにかかる費用も時間も倍になった。日本のように毎年ちゃんと車検があり、ガソリン給油のたびに親切なスタンドのお兄ちゃんが空気圧を計ったりなんてしてくれないので、自分で過去のメンテナンス時期を覚えているしかない。あるいはマメにサービスに出すか・・・。
私のような身分では、自動車を持つのも無理があるようだ。こちらでは自動車は高級なもの、「自動車を持てる身分=家にはお手伝いさんの2−3人はいる」わけだ。だから車に何かあっても、修理屋に持っていって直るのを待つのは、所有者ではなくお抱え運転手だったり、お手伝いさんだったりする。だから車はいつもピッカピカ。それに比べ、私の場合はすべてを自分でやらなければならない。遠くの修理屋に持っていって車を預けたはいいけれど、じゃあそこで2時間も3時間も待つのかというとそれも辛い。そしてついついサービスに出すのを怠っているうちに、状態はもっとひどくなる・・・という悪循環。
最初は「忙しくてなかなか時間がない」とか、こんなときだけ女を理由にして「男の子はもともとメカをいじるのが趣味だけど、私は好きじゃない、わからん!」と逃げてきたが、最近はそうも言っていられないことを自覚し始めている。逆に車が故障したときに、颯爽と車から下りて、一人で直せちゃったりしたらカッコいいかも・・・と、前向きに考えることにした。一回故障したら、それはその部分の勉強、理由をちゃんと学んで、次回からは自分で直せるようにすることを目標にしている。
オイル交換、ラジエーターの水のチェック、これらは毎日のチェック項目。エンジンをかけたら5分はおいてから出かけるのも今では当たり前。ましてや母の愛で購入したスターレットは86年製、日本じゃ乗ってる人もまず皆無と思われる爺ちゃん車なんだから無理をさせてはいけない。今では、まるで日本の冬のように、朝起きたらまずはエンジンをかけ、暖めてから出発するようになった。インドネシアに暮らすと、忍耐力も自然につくのかもしれない・・・と長年暮らしてあらためて思う、今日この頃である。

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