
「ニュピ」
( Nyepi ) さて、まだニュピについて大事なことをお話ししていませんでした。
この日は他のヒンドゥー教のハリ・ラヤ(祝日)に比べ、1番多く規制がされる日です。一日中音を出してはダメ、外へ出てはダメ、仕事をしてはダメ、男女の交わりダメ、電気をつけてはダメ。前日の騒々しさと180度逆に「ニュピ」は一日静かにせねばなりません。この日一日、仕事の事もその他の日常の雑用も忘れ、神様のことだけ考える(瞑想する)ための日なのです。
近所の人から聞いた話によると、以前(20〜30年前)はまだ人間が通りへ出ることは許されていたそうですが、インドネシア・ダルマ・ヒンドゥー協会というヒンドゥー教の協会が十数年前に「ニュピ」当日の規制を制定しなおし、今ではオートバイ、車、人間、全て一日外出禁止となっています。もう一つ言い忘れましたが台所で炊事もダメです。以前、厳しい村ではたばこに火をつけるのも禁じられていたそうです。
でもゼッタイ守らない人がいるはず!!と私は思ったのです。警察や村の代表者が通りでチェックしているんですが、ちょっとくらい…と思う人は必ずいると。
当日は朝7時までは外出できます。早起きして6時くらいに通りへ出ると、休日気分の老人、若者、子供たちが遊歩道気分で歩いています。私も久しぶりに早朝の散歩と、初めて体験するニュピの朝を楽しみました。そして7時、町内の木の半鐘が鳴り「家へ戻れ」の合図です。こうしてニュピの一日は、家の中で静かに過ごすことになるのです。
ここで皆さんの中に疑問を持たれている方もいらっしゃるでしょう。観光客はどうなのかと。いいえ、全ての観光客が従わねばなりません。観光地といわれる場所のレストランは全て閉店です。許可を得ているホテルのみ泊まり客の食事の準備ができるそうです。もちろん車で島内観光なんて不可能です。電気をつけるのが許されるのは、産中の女性のいる家と病院。また車を走らせていいのは急病人を乗せた車に限ります。
どうしても気になる私は、観光客という強みで夜8時に通りまで出てみる事にしました。います、います!若者がひっそり集まって道のど真ん中で座ってひそひそと会談。勿論この通りへ出るまでの道はまっ暗、家々はみんな明かりを消しています。そうしているうちに例の村役のおじさんの持つ懐中電灯の光。若者は早々に逃げ帰ります。もう少しねばっていると、ひとりの若者がつかまって説教が始まりました。ここで私もあきらめ暗い道を戻ったのでした。
規制やぶりの若者と私とで話した事は、「あいつ規制破りだ」「え?何?誰が?」「あの星。あんな明るくしてちゃあ村役に叱られる」「きっと宗教が違うんだろう」というようなことです。この強いバリ・ヒンドゥー教の規制も流石に天界までは届かないようです。

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